20110214

目の前の大切なものを守るため
みんなが一生懸命で
みんなが優しかった

涙が止まらなかったのは
悲しいだけじゃなく
寂しいだけじゃなく
張り詰めた心にみんなの優しさが沁みたから。
一人で不安でたまらなかっただろうお父さんの気持ちも
帰るに帰れないお母さんの気持ちも
わかるから

お水さえ飲まなくなったあんにょんは
ただ最期の時を待っているようでいて
それでも玄関に広がるおしっこ臭さと
辛そうな呼吸の音は
生々しく生きてる証だった。

何かあってから じゃなくて、その前に
と思って帰ったものの
もう会えないかもしれないのに
横浜に帰るのは辛かった。
泣いても泣いても足らなかった。
横浜に帰ってきてやっと声を上げて泣いた。
泣いていいんだよの一言に我慢してたものがどっと溢れた。


眉間の短い毛が気持ちいいことも
撫でると気持ち良くて耳をくるっとさせることも
首の横がふさふさでついつまんでしまうことも
お父さん譲りであろう背中の黒い毛が少しかたいことも
犬のくせして鰹節ののったお粥が大好きだったことも
大晦日に脱走して警察で年越したことも
おじいちゃんにけしかけられて
よその犬と喧嘩して鼻に怪我したことも
忘れないよ

おすわりしながらうたた寝することも
夢の中で美味しいもの食べてることも
大きなため息つくことも
雷が怖くて震えていたことも
知ってたよ


どうして数いる子犬の仲からあんにょんを選んだのかもう忘れたけど
うちにやって来た意味が今になってわかった。
２、３年お世話したら家を出てしまった私は
なんて無責任なのだろう！
と思ったけど、そういうことだったんだね。
私もおねぇも家を出て
お父さんとお母さんとおじいちゃんと
ちぐはぐになった我が家を取り持つために
やって来たんだね。

これからは私がもう一度我が家の子供に戻ろう。



ありがとう
ありがとう
存在自体が愛だったよ

またね